
主なポイント
- 米国株指数はそろって過去最高値を更新し、S&P500は7,300を上抜け、ナスダックはAI主導の上昇を継続しました。
- 金は米ドル安とFRBの大幅な金融引き締め観測の後退を背景に、4,700ドル台を回復して取引を終えました。
- トランプ大統領は週前半にホルムズ海峡で「Project Freedom」を開始し、その後、米・イラン和平合意が近いと示唆したことで、週を通じて市場心理が大きく変化しました。
- アジア株式市場は、日本の日経平均と韓国総合株価指数(KOSPI)を中心に過去最高値を更新しました。
- サムスン電子は、半導体・AI関連株の大幅上昇を受けて、時価総額1兆ドルを突破しました。
- ビットコインは、機関投資家需要とETF資金流入の継続を支えに、8万ドル台を回復しました。
- 原油市場は、ホルムズ海峡と米・イラン協議を巡る報道に反応し、高いボラティリティが続きました。
米国株は上昇基調を継続
今週の市場心理を左右した主要材料の一つは経済指標でした。ADP雇用統計では、4月の新規雇用者数が10.9万人増と前回を上回ったものの、市場予想には届かず、景気モメンタムが鈍化する中でも米労働市場が底堅さを維持していることが示されました。これにより、FRBが高金利をより長く維持するとの見方が強まりました。
株式市場は引き続き上昇し、一方で米国債利回りと米ドルは週の大半で上値の重い展開となりました。ナスダック100は週間で3.45%上昇し、28,800超の過去最高値を更新しました。S&P500も1.6%上昇し、7,300超の新高値を記録しました。ダウ平均はまちまちの動きとなり、週間ではおおむね横ばいで終えました。
アジア株は過去最高値を更新
アジア市場は、今年に入って最も力強い週次パフォーマンスの一つを記録しました。日経平均株価は62,000を初めて上抜け、テクノロジー、半導体、金融株の大幅上昇に支えられました。人工知能と半導体需要を巡る期待が、域内全体の買い意欲を押し上げ続けました。
韓国のKOSPIも週間を通じて大きく上昇し、過去最高値を更新しました。サムスン電子は、時価総額が1兆ドルを突破し、世界的にも大きな注目を集めました。SKハイニックスやその他の半導体関連銘柄も、投資家の資金が引き続きAI関連銘柄へシフトする中で大幅高となりました。
アジア株全体の強さは、世界的なリスクセンチメントの改善、週後半の原油価格の落ち着き、そしてAIの長期成長ストーリーへの信頼継続を反映したものです。
米ドル安を背景に、金は4,700ドル台を回復
米ドルは週の大半で軟調に推移しました。投資家の間で、FRBによる追加的な大幅引き締め観測が後退したためです。ドル安は貴金属の支援材料となり、金は4,700ドル台を回復して週を終えました。金は月初、原油高とインフレ懸念を背景に上値の重い場面もありましたが、ドルモメンタムの低下と追加利上げ観測の後退が、相場の安定化につながりました。
同時に、米・イラン協議を巡る不透明感は、安全資産需要を引き続き下支えしました。外交面で改善を示す報道が見られた一方で、ホルムズ海峡を巡る緊張が世界のエネルギー市場に不確実性をもたらし続けたため、投資家は慎重姿勢を崩していません。
為替市場全体では、リスクセンチメント改善を受けてリスク感応度の高い通貨が買われる一方、ドルインデックスは直近高値を下回る水準での推移が続きました。
原油価格は落ち着くも、ボラティリティは高止まり
原油価格は週を通じて大きく変動しました。週初には、ホルムズ海峡を巡る懸念と「Project Freedom」の開始を受けて、ブレント原油とWTIは急騰しました。米国とイランの軍事的緊張が高まり、世界のエネルギー供給が長期的に混乱するとの懸念が広がったためです。
しかし週後半には、米国とイランが暫定的な和平合意に近づいているとの報道が流れ、市場心理は大きく変化しました。これを受けて原油価格は高値から反落しましたが、交渉はなお継続中とされており、市場参加者は慎重姿勢を維持しました。
下落後も原油価格は前月比では高水準にあり、100ドル前後で推移しました。これは、中東における供給リスクに対する市場の根強い警戒感を反映しています。
暗号資産市場ではETFへの資金流入が継続
暗号資産市場は今週、再び強い強気モメンタムを取り戻しました。中心となったのは、ビットコインが8万ドル台を回復したことです。上昇を支えた主因の一つは、引き続き堅調な機関投資家需要であり、現物ビットコインETFへの純流入も継続しました。投資家心理は、テクノロジー株やAI関連セクターを中心としたリスク資産全体の上昇と歩調を合わせて改善しました。
ビットコインは週を通じて主要アルトコインを概ね上回るパフォーマンスを示し、機関投資家の間で大型暗号資産への選好が続いていることを示しました。イーサリアムや複数の主要アルトコインも上昇しましたが、その上昇率はビットコインほど大きくはありませんでした。
ETFへの資金流入とマクロ環境の改善は、来週に向けても暗号資産市場全体の見通しを下支えしています。
来週の見通し
市場は強い強気モメンタムを保ったまま来週に入る見通しですが、なお複数の大きなリスク要因が未解決のまま残っています。
投資家は引き続き、米・イラン協議とホルムズ海峡を巡る動向を注視する見通しです。外交が頓挫すれば、原油市場のみならず金融市場全体で再び大きな変動が生じる可能性があります。
また、市場の注目は今後発表されるインフレ指標、FRB関係者の発言、追加の企業決算へ移っていきます。労働市場の底堅さと、AI関連の好決算サイクルの強さが、引き続き株式市場を支える主要な柱となっています。
一方で、金、米ドル、ビットコインは、FRB見通しや地政学的ヘッドラインの変化に対して引き続き敏感に反応しやすい地合いが続くとみられます。
来週の主要経済イベント
| 指標 | 国・地域 | 前回値 | 時間[日本] |
| FRB議長指名承認採決 | 米国 | 未定 | |
| 消費者物価指数(前年比) | 米国 | 3.30% | 21:30 |
| 生産者物価指数(前月比) | 米国 | 0.50% | 21:30 |
| 国内総生産(前月比) | 英国 | 0.50% | 15:00 |
| 小売売上高(前月比) | 米国 | 1.70% | 21:30 |
| ニューヨーク連銀製造業景気指数 | 米国 | 11 | 21:30 |
テクニカル分析と見通し
日経225 テクニカル分析
日経225は引き続き最も強い株価指数の一つであり、3月安値からの力強い上昇基調を維持しています。4月初旬にMA20を回復して以降、指数は一貫して高値・安値を切り上げながら、主要移動平均線を大きく上回って推移しています。
価格は現在62,700超で推移しており、直近では63,340付近まで上昇し、より大きな上昇トレンドの継続を確認しました。MA5はしっかりとMA10を上回っており、両者とも上昇中のMA20を大きく上回っています。これは強い上昇モメンタムを示しています。重要なのは、上昇局面における押し目が浅いことであり、買い手が売り圧力を積極的に吸収し続けていることがうかがえます。
テクニカル面では、最初の重要サポートは61,500〜60,700付近に位置します。価格がこのゾーンを上回る限り、強気トレンド構造は維持される見通しです。MA20を明確に下抜ける展開となれば、初めてモメンタム鈍化が示唆されますが、現時点では日足チャートは依然としてトレンド継続と追加上昇余地を示しています。
日経225 日足チャート

| レジスタンスライン | 63,082 – 63,100 | 63,240 – 63,250 | 63,290 – 63,300 |
| サポートライン | 60,523 – 60,540 | 59,053 – 59,100 | 57,894 – 57,900 |
金(ゴールド)テクニカル分析
金は、ここ数週間に非常に大きな変動があったものの、日足では依然として広い意味で強気構造を維持しています。
現在、価格は4,710ドル付近で推移しており、4,800ドルのレジスタンスゾーン下で数セッション持ち合った後、より強い上昇モメンタムの回復を試しています。移動平均線は再び強気方向へ整い始めており、MA5がMA10を上抜け、両者とも上昇中のMA20を上回っています。
直近のローソク足からも、買い手の参加が強まりつつあることが確認できます。特に4,600〜4,650ドル付近では押し目買いが繰り返し入っており、このゾーンは現在、日足ベースの重要サポートとなっています。金がこの水準を維持する限り、回復基調は保たれ、再び4,800ドル、さらには5,000ドル方向を目指す可能性があります。
一方で、4,650ドルを維持できなければ、売り手が再び主導権を握り、4,500ドル付近のMA20サポートまで調整が進む可能性があります。ただし、現時点ではモメンタムは緩やかな上昇継続を支持しており、強気センチメントは再び改善しつつあります。
金(ゴールド) 日足チャート

| レジスタンスライン | $4,766 – $4,780 | $4,870 – $4,900 | $4,930 – $4,945 |
| サポートライン | $4,619 – $4,625 | $4,523 – $4,555 | $4,373 – $4,390 |
ブレント原油 テクニカル分析
原油は、120ドル方向への上昇を維持できなかった後、日足では依然として広い意味で弱気圧力の下で推移しています。120ドル近辺からの急反落は、強気モメンタムの大幅な後退を確認する動きとなり、その後の大きな下方調整につながりました。以降、市場は切り下げ高値の構造に入っており、戻り局面では売り手が繰り返し上値を抑えています。
特に、110ドルを上回って維持できなかったことは、テクニカル的に重要です。この水準は過去の持ち合い局面において主要サポートとして機能していたためです。
原油が110ドル以下での推移を続ける場合、100〜101ドル付近のサポートを再び試し、弱気モメンタムが加速すれば、さらに前回の安値圏まで下値を広げる可能性があります。一方で、より大きな強気回復へ転じるには、MA20を持続的に上抜け、さらに112〜114ドルを明確に突破する必要があります。それまでは、日足全体の構造は依然として下方向への圧力が優勢です。
ブレント原油 日足チャート

| レジスタンスライン | $109.55 – $109.70 | $116.76 – $116.95 | $120.32 – $120.50 |
| サポートライン | $102.54 – $102.70 | $99.38 – $99.60 | $93.70 – $93.89 |
S&P500 テクニカル分析
S&P500は日足で極めて強い強気モメンタムを維持しています。指数は現在7,370付近で推移しており、直近では7,393のレジスタンスを試しました。移動平均線は完全な強気の並びとなっており、MA5がMA10を上回り、両者とも上昇中のMA20を大きく上回っています。このような並びは、機関投資家主導の強いトレンドを反映することが多く、持続的なトレンド環境でよく見られます。
このチャートにおける最も強い強気シグナルの一つは、買い圧力の一貫性です。押し目は非常に浅く、強気のローソク足が相場構造を主導し続けています。7,000〜7,100付近の過去の持ち合いレンジを上抜けたことで、より大きな強気トレンドの継続が確認され、さらなる上値余地が開かれました。
現在、7,300〜7,250のゾーンが重要サポートとして機能しており、短期移動平均線とも重なっています。価格がこの水準を維持する限り、強気構造は維持され、市場は7,400超の新高値へさらに上昇する可能性があります。現時点のモメンタムは反転よりも上昇継続を支持していますが、これほど強い上昇後に短期的な持ち合いが入ること自体は、テクニカル的にはむしろ健全といえます。
総じて、S&P500は日足で依然として明確な強気トレンドにあり、現時点で大きな反転シグナルは見られません。
S&P500 日足チャート

| レジスタンスライン | 7,385 – 7,400 | 7,425 – 7,430 | 7,485 – 7,500 |
| サポートライン | 7,218 – 7,225 | 7,095 – 7,100 | 6,988 – 7,000 |
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